【3D-CADの効率化と体裁の整え方】 ④ フォントを変更し,(1) 視認性を上げる.(2) PDF出力時の文字化けを回避する.
インザナです.ツイッターは@melad_margusです.
だいぶ日があいてしまいました.当初,「表題欄の変更方法」を紹介する予定でしたが,その前に紹介すべきことがあったので,別の内容の記事を書いていくことにしました.
前回の記事はこちら. 【3D-CADの効率化と体裁の整え方】③ テンプレートを作ろう(主にインベンター) - inthe7’s diary
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今回やること
デフォルトのフォントと文字サイズを変える.
はじめに
タイトルの通り,(1) 視認性を上げ,(2) PDF出力時の文字化けを回避するためにデフォルトのフォントを変更しましょう.
(1) 視認性の向上
フォントを変えると視認性は変わります.
日本語で書類を書く際,表題は「ゴシック体」,本文は「明朝体」で書くのが一般的だと思います.この本文を「ゴシック体」や「行書体」にすると,かなり読み難くなります.一方,ポスター発表等の際は,遠くから見えるように,文章を「ゴシック体」にしたほうが良いとされています.
文字サイズも,同様に適切なサイズがありますね.
図面に適したフォントを模索して,視認性を上げましょう.(ただし,チーム作業の場合は,相手の気持ちも考えてフォントを選びましょう.特殊なフォントの共用の強要は,教養がありません.)
(2) PDF出力時の文字化けを回避
インベンターは,図面をPDF出力すると,文字化けします.公式のリファレンス (https://knowledge.autodesk.com/ja/search-result/caas/sfdcarticles/sfdcarticles/kA230000000u0FS.html) によると,文字化けするフォントが存在するみたいです.インベンターのデフォルトフォントである「Tahoma」も,そのうちの一つです.
文字化けしないフォントは, { HG丸ゴシックM-PRO HG正楷書体-PRO Meiryo UI MS Pゴシック MS P明朝 MS UI Gothic MS ゴシック MS 明朝 メイリオ }
と記載されています.
これらのフォントをデフォルトにすると良いと思われます.
注) フォント「Tahoma」でも.文字化けせずPDF出力は可能です.図面の印刷を選択し,プリンターを「Adobe PDF」として印刷をすると,PDFファイルが生成されます.ただし,この手順はショートカットが設定できず面倒です.(通常のPDF出力はショートカットコマンドを作成可能.手順は記事②を参照)
デフォルトのフォントの変更方法
デフォルトのフォントの変更方法は2通りあります.
一つ目は,「スタイルおよび規格エディタ」を変更する方法です.
二つ目は,非公式な方法です.下手をするとインベンターが正常動作しなくなるかもしれないです.また,この方法で故障した場合,サポート対象外になります.(なにかあっても自己責任でお願いします.)
(ソース→ ドキュメント内のスタイルの概要 | Inventor 製品 | Autodesk Knowledge Network
)
一つ目の方法「スタイルおよび規格エディタ」でフォントを変更すると,テンプレートファイルに存在する「テキスト.xml」というファイルの内部が書き換わります.二つ目の方法は,これを直接いじってしまおうという内容です.
デフォルトのフォント変更方法①「スタイルおよび規格エディタ」
まず,マイホームだけを開いた状態(パーツや図面を何も開いていない状態)で,図1の通り「プロジェクト」を開きましょう.デフォルトでは,「スタイルおよび規格エディタ」の変更を全体に適用できないため,これを解除していきます.
図1 「スタイルおよび規格エディタ」を変更可能にするための手順
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これで,「スタイルおよび規格エディタ」の変更を全体に適用できるようになりました.
次に,フォントを変更しましょう.
図2の通り,インベンターのデフォルトのフォントは2種類あります.表題のフォント設定の「Label Text (JIS)」と,本文や寸法の「Note Text (JIS)」があります.また,今回は紹介しませんが,それ以外のフォント設定も自作できます.
図2 デフォルトのフォント設定の種類は2種類ある.
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図3に,これらの変更方法を示します.
図3 デフォルトのフォントの変更方法.
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実は,これだけだと,現在の図面のスタイルのみ変更されており,デフォルトの設定は変わっていません.
図4の通り,「保存」ボタンを押すと,デフォルト設定が,現在のスタイルで上書きされます.
また,デフォルト設定を変更しても,それ以前に作製した図面には適用されません.設定を反映させる場合は,反映させたい図面を選択し,更新ボタンを押します.
注)「保存」ボタンが押せない場合,図1の手順をやり直してください.
図4 スタイルの保存と更新について
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これでめでたくフォントが変更されました.
デフォルトのフォント変更方法②「xmlファイルを直接変更する」
繰り返しになりますが,この方法でインベンターが壊れてもサポート対象外になります.自己責任で操作してください.
操作するファイルは,C:\Users\Public\Documents\Autodesk\Inventor 2018\Design Dataの「text.xml」です.
(変更する前に,「text.xml」のコピーを別の場所にバックアップすると安心です.)
まず,xmlファイルを保存できるソフトでこれを開きます.(Microsoft Visual StudioでOKです.)
開くと,図5のような画面になります.変更するのは,図2の通り,表題のフォント設定の「Label Text (JIS)」と,本文や寸法の「Note Text (JIS)」です.それらを探して,変更してください.英語を読めばわかると思います.分からない方は,素直に一つ目の方法「スタイルおよび規格エディタ」をいじりましょう.
図5 xmlファイルの中身
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終わったら,C:\Users\Public\Documents\Autodesk\Inventor 2018\Templatesの「Standard.dwg」等の図面テンプレートを開き,図4の「更新」ボタンを押しましょう.
これでめでたくフォントが変更されました.
終わりに
今回は,フォントとサイズと変更し,視認性の向上と,PDF出力時の文字化けを回避しました.
二つ目のフォント変更方法は,かなりイレギュラーです.操作した方は気が付いたと思いますが,「text.xml」以外にも様々なxmlファイルがあります.これをいじれば,楽しかったり,楽しくなかったりします.
今回はここまでです.
次回は,図面の線の幅を変更していきます.
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